IQよりも大切な【GRIT】とは?やり抜く力を持つ人が大きな成果や成功をおさめる!
実は、何かにおける成功や功績、いい結果をもたらすのに大切な要因は「才能」ではなく、GRIT (やり抜く力) であることが研究によってわかった。そしてこの研究はマッカーサー賞に受賞した。日本ではマッカーサー賞はあまり知られていないが、ノーベル賞とも肩を並べる偉大な賞だ。
普段テレビやニュースで見たり聞いたりしている一流の人物たちを、ぼくたちが簡単に「天才だから。」と片付けてしまうのは「逃げ」である。何か自分より優れた人を神格化したりするのは自分が「ラク」だからだ。引け目を感じずに済む。そうすれば、現状に甘んじて今日、明日を過ごしていられる。
自分に当てはまるところが多くありました。天才だなんだと言って片付けておけばいい、と思っている自分がいたことに気づきを与えてくれました。もっと努力しよう、昨日よりも一歩前進しようと思うきっかけを与えてくれた。
天才だと思っている人には、本当は気の遠くなるような努力があるはず。そこに目を向けないのはある種、失礼でもある。ただ、そこを見せないのがプロなのかもしれない。
この本では、さまざまなやり抜く力をもったエキスパートたちの事例をもとに、具体的にどんな訓練を行っているのか、努力がどうやって結果に結びつくのか、などが示されている。マッカーサー賞を受賞するくらいなので科学的根拠は明らかなのだが…事例を交えて教えてもらえると、ぼくのような一般ピーポーにも伝わりやすい。
この本が分厚くないけど薄くもなく、文字も1ページにぎっしりなので読み応えがある。正直言って途中飽きた笑。事例も面白くないところがあった。ただ「たしかなこと」が記されており、大切なことが何か、気付かされた。
なぜひとつのことを続けられないのか
やり抜く力、努力が重要なのは経験的に誰しもがわかっている。わかっているのにできないから、続けている人のことを天才と言ってしまうといったことも否めない。どうしてひとつのことを続けられないのだろうか。
この本の中に、なぜひとつのことを続けられないのか、ということが書かれていた。
同じことをずっと続けていたら退屈に感じるのは、ごく自然な反応だ。人間は誰でも(しかも幼児のうちから)、見慣れたものからは視線をそらし、目新しいものに目を向ける習性がある。(引用)
たしかにその通りだと思う。人間の性だから仕方がない。そこを超えられるかどうかはひとつ、成功するかどうかの要因でもあるのだろう。
大規模な研究をいくつも調べてみると、「やり抜く力」の強い人ほど、転職の回数が少ない傾向にあるそうだ。これは当たり前だ、転職しなければ技は磨かれる。ただ、毎日同じようなことを繰り返していける精神力は素晴らしい。逆に転職がダメだとも思わない。合わなければやめればいいとも思う。
大切なのはどれだけ対象のものに粘り強く情熱を注ぎ続けられるか、なのではないでしょうか。
努力は二重の影響を与える「達成の方程式」
下の図はよくありがちな考え方。「才能」が全てを決める要因だとする考え方。しかし筆者は否定する。
実際には「才能」だけではどうしようもなく、頭打ちにあう。下の図こそが「達成の方程式」であると言う。
「才能」とは、努力によってスキルを上達させるための速さのこと。一方、「達成」は、習得したスキルを活用することによって表せる成果のことだ。(引用)
どれだけ才能があっても、その才能を輝かせるべく磨かなければ輝かないし、せっかく輝いたものも時間を置いたり、磨くことをやめればそこで輝きはくすむし、なくなる。
実際、周りにそういう人がいる。「すごい才能だな」とか思っている人がいてもなんだか成長していなかったり、いつの間にか並んでいたり、抜かしていたりするときがある。
エジソンも言っています。
天才とは、1%のひらめきと99%の努力である。
プロ、エキスパートは「3つの流れ」で練習する
- ある一点に的を絞って、ストレッチ目標(高めの目標)を設定する
- しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す
- 改善すべき点がわかったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する
時間の長さではなく、意図的な練習をすることがポイントである。これはプロだけが取り組むものではなく、だれにでも当てはまる練習メニューである。しかし、常に達成を意識した練習はとても過酷なものであることが研究でも明らかになっている。疲れない練習なんて大した対価は得られないということだとも思う。
競泳選手 ローディ ゲインズの「やり抜く力」の根源
ゲインズはあるとき、オリンピックで金メダルを勝ち取るために、自分がどれだけの練習を積み重ねてきたか、振り返ってみたという。
無数の練習を繰り返した結果、1984年までの8年間だけでも、合計2万マイルは泳いだ計算になる。ゲインズは笑いながら言った。
「地球1周分、泳いだわけだ。たった49秒のレースのためにね。」
筆者「練習は楽しかったですか?」
「練習に行くのを楽しいと思ったことは一度もないし、練習中はもちろん楽しくなかった。あまりにも練習がつらいときは、『ここまでする価値があるのか?』なんて考えが、頭をよぎったこともありました。」
筆者「なぜやめなかったのですか?」
「簡単なことですよ。水泳が大好きだったから。競泳は胸が踊るし、トレーニングの成果が表れたときも、調子がいいときときも、レースで勝ったときも、最高の気分になる。練習は嫌いだったけど、やっぱり水泳は大好きだったんです。」 (引用)
「あ、プロのアスリートたちも練習とかを嫌っているんだ」と実感。それよりもその先に待っているものを味わうために努力を続けられるんだ。「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったものだ。これ言葉は全てが好きなら…という意味だと思っていたけど、そうじゃないんだな。
意図的な練習、つまり「質」も大事です。が、もちろん、情熱を注ぐ時間も大切な要因だとは思います。アインシュタインも言っています。
私は、それほど賢くはありません。ただ、人より長く一つのことと付き合ってきただけなのです。
あなたの「やり抜く力」を計る
本書には、あなたのやり抜く力がどれほどのものか、簡単に数値化できるグリットスケールというものがあります。案の定、ぼくは平均的でなんの取り柄もない結果でした…笑。
簡単なものではありますが、ぜひグリットスコアを計算してみてください。そして、自分と向き合ってみてください。やり抜く力さえあれば、どんなところでも活躍できるのだと思います。