【読書力】自己形成としての読書 思考能力・コミュニケーション能力を高める
読書を続けていく中で誰しもがぶつかる壁、「読書は自分のためになっているのか」。自分では感じにくく、成長は目に見えて現れるわけではない。
しかし、読書で得た知識や著者との対話、その努力は決して無駄ではなく、必ず自分の中で影響を与えてくれている、この本からそういったヒントをもらいました。
読書をしていないけど興味がある人にはオススメですし、読書をしている人も自分の行動を肯定的に受け止められ、より読書が好きになります。
またテレビでもおなじみで大学で教授もされねいる著者、斎藤 隆 さんのジャンル問わずのオススメの本は一読の価値があり。
心の時代の中で勝ち残るために必要なこと
SONYの創業者 井深 大は「21世紀は心の時代だ」と言い放ちました。AIやIoTの発達は著しく、今まで人間が行なっていたことの多くを機械が行えるようになっていきます。
そうした世界の流れの中で人間に求められることは、人間でしかわかり得ない部分、「心の扱い方」です。
その心の扱いを学ぶ、心を磨き、より一層深い人間になるためにあるのが読書であるとぼくは思います。この本の中でも「読書とは自己形成である」と繰り返し述べられているのが印象的。
自己形成としての読書
偏った教養での自己形成は時に危険を孕んでいる。読書をしないということは、今ある知識でなんとかしよう、という言わば思考停止状態だと考えられる。
読書によって、様々な著者の考えを知り、言葉を知り、教養を身につける。思考が複雑になる(わかりにくい、という意味ではなく思考が重なり合うイメージ)が、幅広く読書ができていれば、一つのことを絶対視するようなこともなくなる。
自己が一枚岩ならば壊れやすい。しかし、複雑さを共存させながら、徐々にらせん状にレベルアップしていく。それは、強靭な自己となる。
思考停止せず、他者をどんどん受け入れていく柔らかさ。これが読書で培われる強靭な自己のあり方だ。(引用)
読書上達のプロセス【ステップ1〜4】
大人の読書力向上というよりも生まれてきてからの人間の読書力向上を目指したものである。
【ステップ1】読み聞かせ
本を読んでもらうのは楽しい。これは子どもも大人も例外ではない。おそらく誰しもが読み聞かせの経験を持っているだろうし、それはとても楽しくて、安らかな眠りにつけた経験がぼくにはある。それに加えて近年、オーディブルの登場があった。Amazonのオーディオブックサービスである。大人も手軽に読み聞かせを楽しめるようになった。読書がもっと手軽にできるようになった。
ぼくが懸念していることは、今の小さい子たち、読み聞かせ世代の子たちはYouTubeを観て楽しんでいるのではないだろうか。親も忙しさのあまり、スマホをぽいっと渡してほったらかしているのではないだろうか。読み聞かせしてもらっている間、子どもは想像力を必死に働かせて画像を映像へと変換しているはずだ、とても優れた教育法だが、最近では廃れてしまっているのではないかと思う...。
【ステップ2】自分で声に出して読む
小学校に入って行われるステップといえるだろう。これも読み聞かせと同じく、大人も経験する。会社での資料の読み合わせや発表などが想定できる。
音読により、まず目が鍛えられる。かまないよう読むためには少し先の単語にまで目をやる必要がある。この視野の広さをアイ・スパンというらしい。アイス・パンではない。アナウンサーなどが鍛える力として有名だ。
東北大学の教授を中心としたグループでの研究結果がある。声に出して読むと脳は活性化しやすいといったものだ。五感を使って読書することが一番脳にとって刺激的で活性化する。子どもは特に、黙読だとボーッとしてしまうので、音読は効果的な読書だといえる。
【ステップ3】線を引きながら読む
本に線を引くのは勇気のいる作業だ。斎藤氏は三色ボールペンでの線引き読書をおすすめしている。以下のような色分けで線を引くことをすすめている。
赤:主旨からして「すごく大事」
青:「まぁ大事」
緑:主観的に「おもしろい」
赤だけをたどって読めば、本の主旨が掴めるようになる。これが客観的にみて正しく引けているようであれば、本が正しく読めている、といえる。詳しくは斎藤氏の「三色ボールペンで読む日本語」にまとめられている。
【ステップ4】読書のギアチェンジ
読書慣れしている人は読むスピードに緩急をつけられるという。これをギアチェンジと呼んでいる。哲学書といった難しい内容のものはローギアでゆっくりと噛みしめながら読む、ビジネス書といった実用書は大切なところだけゆっくり読めるよう、さくっと飛ばすところがあってもいい。
このビジネス書多読のすすめ、に関しては「レバレッジ・リーディング」をおすすめしたい。ビジネス書多読の仕方である。かなり有名な本だ。
考えるための言葉 思考力を鍛える
日本語って素晴らしい!
きっと小説などを読まれる方は特に実感できていると思うが、日本語には英語をはじめとする外国語には無い表現の細かさがある。
例えば雪の種類でも、粉雪、細雪、牡丹雪…と100種類を超えるらしい。英語はぼくの知る限りで申し訳ないが"snow"しかない。
考えることは言葉で行う行為だ。一人で考え事をしているときも、言葉で基本的には考えている。言葉の種類が少なければ、自然と思考は粗雑にならざるを得ない。考えるということを支えているのは、言葉の豊富さである。(引用)
ぼくは、この言葉の豊富さが日本を産業において豊かにしたのではないかと思う。
詳しくはよくわからないが笑、日本は鎖国などを行い、他国との関わり合いを絶っていた。島国であり他国との関わり合いは容易ではなく、資源にも乏しい。そんな中で、日本の世界に認められる技術力や文化などは磨き上げられてきた。
これは先人たちが思考し続け、産み出した遺産ではないか。日本の今があるのは日本語の表現の多さや繊細さ、そこからくる真面目さなどが要因なのではないかとぼくは思う。
言葉をたくさん知るためには、読書は最良の方法である。なぜ読書をした方がよいのかという問いに対して、「言葉を多く知ることができるからだ」という答えは、シンプルなようだがまっとうな答えだ。(引用)
自分の理解を確かめる機会
自分ではぼんやりとしかわからなかった自分の体験の意味が、読書によってはっきりすることがある。「あれはこういう意味だったのか」と腑に落ちることが、私は読書を通じてたくさんあった。(引用)
これと全く同じことがぼくの経験にあった。下に貼った記事にも書いたが、自分の考えを誰かが言葉にしてくれて、自分の中で思考に輪郭がつき、よりはっきりと理解できる。そうして次のステップに進めるようになる。
そんな貴重な経験が過去にぼくにすらあったし、こうやって他者の考えを知り、ぼくの考えが肯定されている実感は嬉しい。笑
読書をする喜びは、こうやって成果が出たときに感じられるのかもしれない。ぜひ、読書力を通じて、今までの読書を振り返ってみてほしいです。きっと気づきがいっぱいあります!
ぼくが今までに読んだ斎藤先生の本に雑談力を磨く本があるのでそれも紹介しておく。