かめイズム

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コーヒーが好きな大学院生が書いています。

心を自然と癒す「レジリエンス」とは?現代に必要な「レジリエンス入門」正しい心のあり方

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聞き慣れない「レジリエンス」という言葉。実はこのストレス社会とは切り離せない心理学用語なのです。このレジリエンスに関して、わかりやすく、また易しい言葉で、多くの事例などを用いながら解説してくれるのが本書『レジリエンス入門』。

 

人材育成コンサルタント著者 内田さんは本書の中でレジリエンスを次のように説明します。

 

(落ち込んだり、へこんだりしたとき)そんな嫌な気分をもとの正常な状態に戻す力が「レジリエンス」なのです。(引用)

 

それだけではなく、さまざまな局面で「レジリエンス」は自分を守ってくれます。

 

予期せぬ事態に遭遇すると、私たちは動揺して、混乱したり、途方にくれたり、不安に襲われたりします。そんなとき力になってくれるのもレジリエンスです。(引用)

 

つまり、レジリエンスとは「心の自然治癒力とまとめられます。折れない心を作り、成長するための方法を心理学的に学び、身に着けることで役立ちます。

 

 

レジリエンスを高める脳の鍛え方

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レジリエンスを高めるにはどうするのか。それは、知識を増やすのではなく、視点を増やすこと。一つの出来事を様々な角度から見る。そうすることで折れにくい心が作りあげられます。

 

しかし、いざ自分が窮地に立たされているとき、つまり、自分の悔しい、悲しい、などの感情をもった追い込まれた状態で、一度、落ち着き、視点を変えて物事を捉えることは簡単ではないと思います。

 

まさに筋トレのように、日頃から鍛えておかないといけない、意識しておく必要があります。その作業は退屈なものではなく、間違いなく、今後、世界で起こる変化のうねりに必要となる力である、といいます。

 

具体的なトレーニングのために「エリスのABC理論、ABCDE理論」を用いて分析します。自分の感情を客観視するための道具の一つです。

 

 

そもそも人間はネガティブだった!

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そもそも人間はネガティブで、なぜ人間はネガティブなのか、という説明があり、とても勉強になりました。

 

ダニエル・カーネマンは「嬉しさ」より「悔しさ」の方が2.25倍も強いと言っています。ちなみに、私だったら5倍以上は「悔しい」思いをします。(引用)

 

たしかにそうかも知れません笑。嬉しかった出来事なんかよりも、損したことや悔しいことはずっと記憶している気がします。

 

なぜ人間はネガティブ、つまり否定的なのかというと、人間の脳は1万年前からほとんど進化していないことに由来します。というのも、今ではコンビニやスーパーで買う食べ物などはまず間違いなく安心して食べられますが、1万年前などは、食べるのにも一苦労で、本当に食べていいのか、腐っていないか、など表面、中身、匂いなどを確認してやっと食べていたはずです。でなければ、生き残れない。

 

とにかく最悪の事態を想定し、そうならないように否定的な側面を見て、神経を研ぎ澄まして生きていた1万年前と変わらない脳が、そこまでではないものの、いまの現代でもネガティブさを発揮しているのです。

 

つまり、大きな獣に向かっていくような勇気ある人間ではなく、ネガティブで小心者の人間の生き残りが今の我々なのです。だからネガティブ。

 

 

自分のことを改めて知ることになるレジリエンス

 

この本を読んで、「だからネガティブなんだ」とか「もしかして自分は完璧主義だったのか?」とか、新しい自分に気付けました。まさに視点も増えたし、レベルアップしたような感覚。

 

また後半にかけて紹介される実例からも、自分や周りの人を当てはめながら考えて読むことができて非常に充実した本でした。

 

この本の中にも「マインドフルネス」「瞑想のやり方」なども心理学に基づき紹介されていたので、そこで以前紹介した、「マインドフルネス瞑想」の重要性などを再確認しました。

 


 最近では入社してすぐに退職してしまうことが多いようです。特に入社3年以内の離職率が約3割というのを見たことがあります。その3割のなかにはきっとレジリエンスに原因がある人が多いと思いますし、今後も重要なキーワードとなることでしょう。

 

いつ鍛えたって無駄にならないのがレジリエンスだと思います。手遅れなんてことはなく、そんなものはレジリエンスについて言えば関係のない、どんな人にも必要な力です。

 

読んでいる間、充実した時間と内容でした。